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文化学園大学 国際文化・観光学科ブログ“小平の風”

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カテゴリ:教員コラム( 227 )

電子図書館・電子書籍

  私が担当している授業で、電子図書館、特に世界有数のインターネット検索サイトを運営するGoogleが進めている、世界中の書籍を電子化し利用可能にするGoogle ブックスについて話しました(注1)。Googleの“世界中の情報を検索可能にする”という使命、どのようにGoogle ブックスの実現に取り組んできたのか、また、著作権法やこの構想に反対する全米作家組合や全米出版社協会との裁判の経過も紹介しました(注2)。
 そうした説明の上で、このGoogle ブックスについて、4つの立場のいずれを選択するかを聞いたところ、次のような結果になりました。
A 電子図書館に賛成 Google ブックスに賛成   8名 (11%)
B 電子図書館に賛成 Google ブックスに反対  54名 (73%)
C 電子図書館に反対 Google ブックスに反対   7名 ( 9%)
D 保留                            5名  ( 7%)
                             計  74名 (100%)

日本の著作権法上では、Google ブックスの電子化は明白に違法と私は考えますので、多くの学生がBを選んだのは、うなずける選択でした。一方、Aの肯定論者とCの否定論者が同じ程度の比率で存在することも、頼もしく感じました。
それぞれの代表的意見を紹介します。

Aの代表的意見:「Googleによる電子化というのは、デメリットよりメリットが大きいことが期待できると考えている。全てネットで済まされるような現在の社会に合わせ、インターネット上に電子図書館を築くというのは有効的であるはずだ。」

Bの代表的意見:「Googleが進めようとしているものは確かに便利ではあるが、問題点も多いというところから賛成できません。
  やはり著作権の問題、プライバシーの問題はとても根深く、その辺をきちんと整理し、信頼を得てからではないと難しいと思いました。また、Googleが独占的になることは怖いなと思いました。それこそ、著作権などでもめる場面が頭に浮かびました。
  電子化というものは今の世の中を考えれば、必要で便利であるが、Googleの件についてはもう少し考える必要があると思いました。」

Cの代表的意見:「書籍の電子化は、私は元々反対です。私は紙の匂いが好きですし、本自体にふれ、読まなければ読んだ気にならない。本というものは、手にとって見なければ意味がないと思っています。本自体にその「味わい」というものがあります。電子書籍化されてしまったら、その「味わい」も「におい」も「感覚」もすべてがいらなくなってしまう。「本」のなかにある文字を自分自身で読みとり、その本から伝わるものも、電子化したら薄くなってしまいそうで私は嫌いです。
 本のページ一枚一枚めくっていく事で、楽しくなったり、悲しくなったり、そのような感情が生まれてくると思います。それは電子化しても同じではないかと思われるかもしれませんが、「タップする」という行為ではなく、「めくる」という行為が好ましいのです。 
 とにかく、本の「味わい」というものは電子化では表現できないほどの特典なのです。それを無くしては絶対にいけないと思います。」

Dの代表的意見:「私は正直『D』の判らないです。Googleによる電子化によってメリットもデメリットも生じてきます。メリットは世界中のどこからでも見る事ができ、とても便利な機能。逆にデメリットは破損したり、スキャンミスすることによって本がぼろぼろになってしまう。それだけでなくプライバシーに関しての事が一切書かれていないので、危険である。賛成にしても反対にしてもこのように沢山の事が関係してきます。だから私はどちらかを選ぶことができなかったので、『D』にしました。」

 私はこの授業の最後に、1450年頃のグーテンベルクの活字印刷の開始から550年余を経た電子出版の興隆期に、今、私達が立ち会っていることの幸運を強く自覚されることを学生の皆さんに話しました。なぜなら、一人一人の選択により、次の時代が選び取られていくのですから。

 注1 http://books.google.com/books?hl=ja 出版社や図書館の協力のもとに書籍の全文をスキャンすることで、全文検索を可能としている。
 注2 一時、Googleと全米作家組合や全米出版社協会との間に和解が成立したが、その和解は裁判所の認める所とはならなかった。その後、アメリカの著作権法にある「フェアユース」(公正利用)に照らしての可否が争われている。2013年11月にニューヨーク連邦巡回裁判所(地裁)はフェアユースに該当し合法と判断したが、全米作家組合が上告している。

教授 瀬島 健二郎  
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by bwukokusai | 2014-02-11 09:00 | 教員コラム

恩師からの便り

数日前、大学時代の恩師であるM先生からハガキが届いた。M先生は、昨年の3月で定年退職を迎えたのであるが、この度、元同僚のS先生とともに地元で、とある活動を始めるそうだ。退職してもまだまだお元気で、じっとしてはいられないというのが伝わってくる。

思えば、学生時代、M先生に連れられて方々に出かけたものだ。教育学部で地域学習のカリキュラムや教材づくりを研究していた我々は、毎年、ゼミ旅行で北海道内の各地に出向きフィールドワークをしたり、道内の小・中学校の研究大会に参加して授業参観をしたりした。おかげで地域を見る眼と、そこから授業をつくる感覚が養われたのだと思う。

東京に赴任して6年目。ようやく私も、学生たちとともに、地域に出られるようになってきた。

国際観光コースの2年生は、小平市の人々を取材し、地域をPRするポスター制作に取り組んでいる。3月2日に西東京市の多摩六都科学館で、ポスターの制作発表会を行なうことが予定されている。
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国際観光コースの3年生は、小田急電鉄沿線をフィールドに外国人旅行者向けのツアー企画を考え、小田急電鉄株式会社に提案させていただいた。優秀賞のツアー企画は、まもなく、小田急電鉄の外国人旅行者向けのサイトに掲載される予定である。
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いつも辛口で厳しいM先生は、きっと私と学生たちとの取組みを見ても、まだまだ認めてはくれないだろう。それでもかまわない。恩師から得た学びを、学生たちに伝えていくのはこれからなのだから。出来の悪い私が、M先生に認められる実践ができるまでは相当、時間がかかりそうだが、その日まで、元気でいてもらわないといけない。

准教授 栗山 丈弘
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by bwukokusai | 2014-02-04 09:00 | 教員コラム

伸びる新人に共通すること

私は航空会社に25年ほど勤務していました。いろいろなセクションで働かせていただきましたが、客室本部が一番長く、新しいサービスの企画をしたり、乗務員が使うマニュアルを作ったり、客室乗務員として飛んでいたこともありました。客室乗務員を養成する訓練部にいたこともあり、それが今の仕事に繋がっています。

航空会社には毎年多くの新人が入ってきます。通常で200人、多い時には800人くらいの新人がチェックアウト(実戦配備)していきます。直属の部下として80人くらい、訓練担当者として1000人くらいの新人たちと働く中で感じたことは、「訓練中の印象は当てにならない」ということです。心配と頭痛が制服を着ているのではないかと思った新人が、数年後に配属先で素晴らしい評価を得ていることも多々ありました。一方で、「チェックアウト後1年で伸びない新人は、5年後もダメ」という印象も持っています。つまり、訓練部での評価は当てにならないが、お客様の前に出て1年で伸びなければ、先はしれているということになります。どういうことでしょうか。

訓練部で良い成績を取るのは、要領のよさであり、いわゆる「お勉強」に慣れているかどうかがモノを言います。これはものすごく大切な能力と言えます。要領が良いというのは勘所(かんどころ)が良いということであり、その後の成長にも大きく作用します。でも、それが無くても、すごく伸びる人が居るのはなぜでしょうか。

私は仕事に対する考え方の違いではないかと思います。客室乗務員の主たる仕事は接客です。サービスには、多くの場合、犠牲が伴います。相手が望むことに応えるには、体力も気力も時間も使うからです。どんなに疲れていても、いつもと同じように笑うというのも一種の自己犠牲だと思います。お客様の立場になって考えるということは、どんな時でも自分の都合よりお客様の都合を優先できるかというのと非常に近い場合が多いのです。

「客室乗務員になったのは何がしたかったのか」「客室乗務員になったのはGOALなのか、STARTなのか」といった仕事に対する考え方は、人によって大きく違います。でも、それが最初の一年に大きく影響するような気がします。そして、きっとこれは、どの仕事を選んだ場合でも言えることなのではないでしょうか。

准教授 小川祐一
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by bwukokusai | 2014-01-28 09:00 | 教員コラム

「横浜プチ散歩:平成,昭和,大正,明治,江戸時代にタイムトラベル」

横浜港は今年で,開港155周年。横浜マリンタワーは,開港100周年を記念して昭和36年1月15日に開館したタワーです。高さ106メートル,灯台としての役割も持ち,灯台の地上高世界一としてギネスブックに記録されました。平成20年9月に灯台としての役割を終えて廃止されました。横浜港北水堤には明治29年に建てられた赤灯台があります。また,東水堤に設置された白灯台は,現在氷川丸桟橋の先端に移設されています。

山下公園から横浜港遊覧のシャトルに乗船すると,マリンタワー,氷川丸,白灯台,赤灯台などを海から眺めることができます。おすすめは,午後4時頃出発のマリンシャトルです。沈みゆく夕日,冬の澄み切った青空,ブルーとオレンジ色のコントラストは,江戸時代の浮世絵の空をみるようです。太陽が沈むと,みなとみらい21の高層ビル群,大観覧車や工場地帯,ゆずの歌で知られる「赤いキリン」,それぞれのイルミネーションが競い合うように輝き始めます。
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私たちの身近な街角には,江戸から平成へとさまざまな時代の足跡が残されています。横浜情報文化センターは,昭和4年に関東大震災の復興記念として建てられた商工奨励館を保存し,新築した複合施設です。内部には,幕末から現代まで日本の新聞の歩みを展示した日本新聞博物館の他,新聞ライブラリー(一般公開無料),放送ライブラリー(放送番組,CMを無料公開)などの専門機関があります。マスコミの歴史を調べ体験することで情報化社会の未来に思いをはせてはいかがでしょう。放送ライブラリーの企画展示「ウルトラヒーローと特撮番組の50年」では,子どもたちや昔子どもだった大人たちが、特撮のヒーローや怪獣たちと楽しいひと時を過ごしていました。

最後に,明治から現代までをインターネット上でプチ散歩できる「今昔マップ on the web」(http://ktgis.net/kjmapw/)をご紹介します。谷謙二准教授(埼玉大学教育学部社会科教育講座人文地理学研究室)が提供している明治期以降の新旧の地形図を切り替えながら表示できる地形図閲覧サイトです。日本地図から首都圏,横浜を選ぶと,明治から現代までの各地域の様子を比較して見ることができます。
今年は,昭和39年に本学が文化女子大学として開学して50周年にあたります。大学の周辺はどのように変化したのでしょうか?自分が今住んでいる所はどんな地域だったのでしょうか?それぞれの目的や興味にあわせて,地図の上でのタイムトラベルに出発してみましょう。

参考サイト
1)横浜市港湾局. 横浜港の歴史http://www.city.yokohama.lg.jp/kowan/m-learn/history0.html
2)横浜情報文化センター http://www.idec.or.jp/shisetsu/jouhou/detail.php
3)学校法人文化学園. 学園のあゆみhttp://www.bunka.ac.jp/contents/history.htm


教授 吉田昭子



-特待生入試-
H26年度から特待生入試を行います。出願は2014/1/6より1/24まで。所定の試験を受け基準に達した場合、年間授業料全学免除と半額免除が各1名適用されます。なお不合格者で同日実施される一般入試A日程の合格基準に達している者は、一般入試A日程の合格者とします。
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by bwukokusai | 2014-01-21 09:00 | 教員コラム

「風立ちぬ」

将来とは、恐れという患いによる私たちの現在です。また、過去とは、罪責の記憶による現在です。私たちは確かに現在に生きております。しかし、その現在とは、恐れにより暗くされた現在であり、罪責により暗くされた現在です。私たちは将来と過去に生き、現在に生きていません。現在を生き生きと生きることを「現在する」と言うならば、私たちは現在していません。「私たちは本当に自分の現在を享受することができないのです。」(E.ブルンナー)私たちは自分が責任のある存在であることを自覚すればするほど、従って人間であろうとすればするほど、自分の義により、自分と他者を責め、自分の現在を享受できないでいます。絶えずあれやこれやのことを思い患い、それにより現在が破壊されてしまっています。罪責は個人の生を越え過去のどこまでも遡及する。また恐れも個人の生を越え歴史の果てまでも続く。罪責により暗くされたどうにも取り返しのつかない償いようのない過去と、杞憂として嘲笑されるどうにも手の打ちようもない将来に心が奪われてしまっているのです。将来と過去とに拘束された牢獄の中におり、現在していない。そのゆえに、今現在すぐ隣にいる人を愛さない。生きながら死んでいる状態です。死んではいないが生きてもいない。生殺しにされている状態です。私たちはまさに「死に至る病」(キルケゴール)、つまり絶望の内にあります。そして、その絶望の中でも自分の力により何とかしようとしています。

人間性を犠牲にし、自らの良心を殺し、あれやこれやによって「気晴らし」(ハイデッガー)をすることによってのみ、日々を享受しようとします。しかし、私たちは良心というものを本来的に備えている存在者です。忘却は私たちに与えられた最もありがたい資質です。しかし、気晴らしという忘却というやり方では、何の解決にもならないことはすぐにわかります。私たちの本来性から私たちは仕返しを受けるのです。また、罪責の大本であると考えられた「明治の精神」(漱石)を、我もろとも打ち滅ぼすことにより、そこから解放されるなどということも到底不可能です。熱狂を呼び起こすいかなる麗しき事柄(真・善・美・信・望・愛・快)も決してこの絶望から私たちを解放してくれません。

唯一私たちをこの絶望から救ってくれるのは、「風」です。それによって、生きようという決意が呼び起されるのです。堀辰雄は『風立ちぬ』の冒頭に、P.ヴァレリーの詩『海辺の墓地』の“Le vent se lève, il faut tenter de vivre.”という一節を引用し、「風立ちぬ、いざ生きめやも」と訳しました。lèveの後の「,」を彼は「、」と訳しました。また「いざ」という決意にも拘らず、「やも」という躊躇が入り込んでいます。それは私たちの実際の意識に近いとしても、この点が誤訳と言われるゆえんです。鈴木信太郎氏が使用した版では原文はLe vent se lève !… Il faut tenter de vivre !であり、氏は「風 吹き起る…… 生きねばならぬ。」(『ヴァレリー詩集』岩波文庫、1991年、242ページ)と訳しました。「,」においても、「!…」においても、非連続の連続が表現されております。しかし、「!…」においてより一層非連続性が強調され、無が現されています。「風」は生きることを命じる。ゆえにヴァレリーの「!」は見事です。「風」は私たちの絶望を完全に断ち切る。その意味で「…」さえないほうがよい。関根正雄はヘブライ語の「ルーアㇵ(風、息)」を「霊風」と訳したことがあります。「風」が自分を完全に無化し、殺すものでないとしたならば、絶望からの解放はありません。

この「風」はどこから吹き立つのでしょうか。

教授 木村清次


-進学相談会-
教員が個別に対応する進学相談会が小平キャンパスにて行われます。開催は11/16(土)、12/14(土)、1/18(土)の全3回です。観光、国際文化に興味のある方は小平キャンパスまでお越しください。

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by bwukokusai | 2014-01-14 16:00 | 教員コラム

日本語話者がバイリンガルになるには?

 7年後をめどに、小学校では英語の教科化を図り、中学校では英語の授業は原則英語でする、ということに決まるようですが、本当にコミュニケーション能力を上げるつもりなら、その授業内容が問題となります。
 英語と日本語をバイリンガルに話すには、自分の意見を英語にしなければなりません。まず、「しっかり母語でものを考える」「自分の独自の意見を持つ」が大事で、それから英語で表現してみることがよいと思います。従来の学校教育のように英会話のパターンを覚えるだけなら日常会話どまりです。本当のコミュニケーション能力とは、自分の意見を発話し、相手を説得する力です。
 多言語を自由に駆使する教育を行っているフィンランドでは、小学校の外国語教育は主にワークブック、作文とスピーチで組み立てられています。例えば、自分の宝物をクラスメイトに紹介するのに、英語でスピーチをします。もちろん原稿を作って、それを覚えてくることが必要です。わからないところは先生が個人指導をして、しっかり書かせます。最初はこの様にして英文を作成し、スピーチ原稿を書き、声に出してスピーチの練習をすると、英語の構文が頭に入ります。そうすれば原稿を書かずとも自分の意見が英文になって発話できるようになるでしょう。
 英語を自由に話したいと思う日本人は、まず、自分の話したいトピックを設定し、自分の意見を日本語で箇条書きで書いてみます。それから、そのアウトラインを見ながら中学・高校で習った構文を使って、自分の意見を英語で書いてみます(決して日本語の文章を英語に翻訳してはいけません)。スピーチ原稿なので会話体で構いません。その後は、スピーチ原稿の英語を誰かに直してもらいます。知り合いに英語話者がいない場合は、日本人で英語の出来る人に頼むか、あるいは比較的安価で英文校正をしてくれる会社がネットで見つかるはずです。そうして英文を磨いていきます。原稿ができたら、今度は声に出して何度も読み返し練習します。一番良いのは自分の声を録音し、iPodや携帯に保存し、時間のあるときに何度も聴き直し、英文を覚えるようにすることです。こうして自分の声で英語を聴けば、自然に英文が覚えられ、実際の会話の中で自分の言いたいことがすらすらと英文になっていくはずです。試してみてください。

教授 白井菜穂子

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by bwukokusai | 2013-12-24 14:28 | 教員コラム

≪ 英語俳句で広がる世界観 ≫

アメリカのある大学で学部長を勤めている私の友人は、詩人でもあり、英語で俳句を書くのが得意です。彼は数々の賞もとっていますが、その週の新作を私にメールで送って来ては、日本人である私の意見を求めます。忙しくてまめに返信出来ていないものの、気分をリフレッシュさせてくれる句に出会えることも時々あります。
 
最近私が気に入った彼の句を、紹介しましょう。

melting snow
a cardinal pecks at
fresh water

何とも言えないすがすがしい冷たい空気と静寂が感じられる俳句です。 cardinal はショウジョウコウカンチョウという鳥ですが、ローマ・カトリックの枢機卿が身につけている衣と帽子の緋色を思い浮かべて下さい。

この句の素晴らしいところは、雪によって寒色系の白を呈示したのちに、鳥の赤い暖色をもってきて、絶妙なコントラストを示している点だけではありません。鳥は、雪解け水の流れにくちばしをよせ、ついばむようにこれを飲んでいます。読者はここで、生き生きとした色を持つあらゆる生命の源が、実は無色透明な水であることを実感できるのです。美しい色を持った鳥の咽喉元を過ぎていく清らかな水を想像して、心の中でその姿を静かに見つめている自分を感じませんか?

あらゆるものが融合し共感しあっていくような優れた俳句の世界観は、とても奥深く、そして大変素直です。芭蕉の例でも解かる様に、その世界観は宇宙観と言っていい広がりに到達することも多く、読み手も読者も一個人の経験を超えて万物とつながっていくことができます。

また、俳句は凝縮された魅力を持つ文学の一形態です。アメリカ作家のエドガー・アラン・ポーは、短編小説の名手としても知られていますが、19世紀においてすら、「我々の忙しい時代には one sitting の文学(一度すわった間に読みきれる文学作品)が望ましい」と述べていました。あなたが、(心を亡くすほど)忙しければ、心を豊かにしてくれる文学はなおのこと必要です。俳句は、文字を読むのは一瞬に近かったとしても、句意を推し量り情景を思い浮かべながら、その味わいは心の中で刻一刻と深まっていきます。その過程において、俳人が卑近なものを高みへと移行させていった感覚を共有することも出来ます。是非、英語俳句を通して、英語と文学両方の世界を広げていって下さい。
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教授 久保田 文


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by bwukokusai | 2013-12-09 00:00 | 教員コラム

ナショナル・トラスト(The National Trust)

今年6月22日に富士山が世界遺産に正式に登録された。世界遺産は、1972年ユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づいて登録された文化遺産や自然遺産であるが、民間団体も歴史的建造物や自然の保護・保存に力を入れている。その1つがナショナル・トラストである。今回はこのナショナル・トラストについてふれてみたい。

ナショナル・トラストは、自然環境や歴史的建造物保護を目指す英国の民間の非営利団体である。19世紀の英国では産業革命が進んでいたが、その産業革命により都市化が進み、田園地帯が開発の波に押され自然破壊が進んでいった。そのような状況の中で、自然環境や歴史的建造物の保存を進めるためにナショナル・トラストという組織が、1895年弁護士のロバート・ハンター、社会事業家・婦人運動家のオクタビア・ヒル、牧師のハードウィック・ローリンズの3人により設立され、運動が始まった。ナショナル・トラストは、国民の手で美しい自然や歴史的建造物を永久的に管理すると同時にその資産を国民に開放し、少数の富裕者による支援ではなく、広く国民に浸透した組織作りを目指している。

「ピーター・ラビット」の作者のビアトリクス・ポッターは、このナショナル・トラストと深いかかわりがある。ポッターは上記のローリンズ牧師から自然保護に関して多大な影響を受け、ナショナル・トラストの設立前から最大の協力者となっていた。ポッターはイングランド北西部の湖水地方に住み、その風景と暮らしを絵本に描きながら、農場などを次々と購入し環境保全活動に参加していた。彼女の死後、4,000エーカーの土地をはじめ全ての資産がトラストに寄贈された。現在、ナショナル・トラストが湖水地方の約3分の1を保有している。英国全体では、350箇所以上の建造物や遺跡を保有し、その総面積は25万5,000ヘクタール以上にのぼる。 そして、多くの会員とボランティアが活動を支えている。バーナード・ショーやウィンストン・チャーチルの邸宅、ビートルズのジョン・レノンやポール・マッカートニーが少年時代住んでいた家等もトラストは所有している。

英国の他、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、アメリカ、マレーシア、バミューダ、フィジー、ジャマイカ、韓国、台湾、日本などにもナショナル・トラスト運動は広がっている。

日本では、1964年に鎌倉を乱開発から守るために、作家の大佛次郎が立ち上がり、鎌倉市民と共にナショナル・トラスト活動を展開したのが始まりである。

教授   石田 名都子


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by bwukokusai | 2013-12-03 09:00 | 教員コラム

チューターパーティー2013

以前にも本学部の留学生対象のチューター活動についてご紹介する文を書きましたが、今回はその続きです。(http://bwukokusai.exblog.jp/9843978/  http://bwukokusai.exblog.jp/18144823/)
チューター活動は基本的に留学生と日本人のペアまたはグループで行いますが、全員の親睦を深めるために、1年に何度かグループを超えた全体でのイベントが行われます。今年は前期にバーベキューパーティーを行い、後期イベントとしてチューターパーティーを11月14日に学内で行いました。日本人学生も留学生も、先輩も後輩も教員も一緒になって、今回も気の置けない仲間とわいわい騒げる楽しいイベントとなりました。
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乾杯をし、みんなでおいしく食べながらとりあえずは自己紹介。自由な質問では「彼氏は?!」「好きなタイプは?」「本当のことを言ってください!」など恋愛関連の質問をするのがお約束になっていました。きわどい質問もあったんだけど、みんな逃げ方がうまかったです(…が逃げるのに失敗した人も)。

お腹が落ち着いた頃、田中さん提案・司会の「私は誰?」ゲームに入りました。下の写真で、みんなの額に貼ってあるのは一人一枚ずつ動物名を書いた付箋です。このゲームは他の人が書いた付箋を、自分から見えないように額に貼ってもらい、みんなに質問をしたりヒントをもらったりしながら、自分の付箋に書かれた動物名を当てるものです。
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最後に残った人が罰ゲームというルールなのですが、みんな、相手にヒントを出す出す。チューター活動に参加する人は基本、世話焼きなのかもしれません。また、みんな別々に秘密にお題を書いたのにいくつかがカブっていて、カブった人同士が「あなたのはねえ」と言いつつ、真剣にヒントを出し合っているのも笑えました。はたから見れば、二人とも額に「ウサギ」と書いてあるのですから。

その次は「古今南北」というゲームです。「山手線の駅」などのテーマについて一人一つずつ秘密の地雷ワードを決めておきます。全員決まったらゲーム開始。一人ずつ順番にテーマに属する名前を一つ言っていきます。誰かの地雷ワードを言っちゃった人はアウトになりますが、その際、そのワードを考えた人が言った人に対して、指を差して「ドーン!」というのがお約束です。アウトになった人にはマイナス点が、アウトにした人にはプラス点がつきます。
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今回は駅名の他「47都道府県」「アジアの地域名」などのテーマで、息詰まる?攻防戦が行われました。「都道府県」のとき、ゲーム開始直後に「沖縄!」と言った金さんがいきなり地雷ワードに当たってしまい、「ドーン!」と言われて目を白黒。観光地として海外でも有名な県だから避けておいた方がよかったのかも?「駅名」では「高田馬場」と言った呉さんが3人から「ドーン!」と言われ、マイナス点が3倍に。高田馬場に思い入れのある人が多かったみたいです。テーマと同時に参加者一人一人について知っているほど対策も立てやすかったかもしれません。
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こんなことをしていると2時間は飛ぶように過ぎます。最後にみんなで記念写真を撮りました。
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今年は特に積極的な人が多く非常に盛り上がりました。事前の買い出しもみんなで行くと楽しみの一つ。どれだけ参加しどれだけ楽しめたかが、異文化に限らずどんな交流にも重要ですよね。いろんな違いがあったとしても、心から打ち解けて笑いあえる経験や何かをなすために協力し合える経験が豊かな交流のきっかけになるものだと思っています。

後期活動はまだ続きます。それぞれのペアやグループに戻った時も、より楽しく深い活動を続けていってほしいと思います。


参考図書
すごろくや(2013)『大人が楽しい紙ペンゲーム30選』スモール出版


准教授 星 圭子


【進学相談会】
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by bwukokusai | 2013-11-26 10:00 | 教員コラム

日本語学校は世界への窓

11月2日から4日まで、文化学園大学、文化服装学院、文化外国語専門学校の文化祭が新都心キャンパスで行われました。いつもは小平キャンパスにいる国際文化・観光学科の学生たちも展示・バザー・模擬店などに参加し、祭りを盛り上げました。

私は2日に文化外国語専門学校で行われたスピーチコンテストに審査員の一人として呼ばれました。文化外国語専門学校は定評のある日本語教材を数多く発行している学校で、現代文化学部日本語教員養成課程の学生たちが授業見学をさせて頂いています。

日本語科での選抜を経てきた6名はとても落ち着いて堂々と発表していました。全員、原稿も持たずに発表していたのが印象的でした。4月からの約半年でよくもここまでと審査員一同感心しました。

1.イリナさん ラトビア 「死なない方法」
 ~創造したものの中には自分の個性が宿り、生きたという足跡を残すことができます。~
2.ステイシーさん シンガポール 「一緒にポジティブな生活をしてみませんか」
 ~ポジティブな態度・発言をすることを心がけましょう。~
3.ペンさん カンボジア 「一人で外国で生活すること」
 ~当初「まずくて食べにくい」食べ物しか作れなかったけれど、今は楽しい生活です。~
4.陳さん 台湾 「隣の花は赤い」
 ~海外に憧れる一人だったけれど、自国のことをあまり知らなかったことに気づきました。~
5.アイシャさん セネガル 「確かにそうかもしれません」
 ~「確かにそうかもしれません」と日本人が言う時の意味が分かってきました。~
6.李さん 台湾「毎日の十分間デート」
 ~一日の終わりに嬉しいこと、有り難いことを思い出しています。~


日本への留学という異文化体験を通じて気づいたことを話してくれた人、降りかかった試練を乗り越え、その体験を通して得たことを語ってくれた人、どのスピーチも内容豊かなものでした。その中でセネガルのアイシャさんが最優秀賞に輝きました。
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久しぶりに日本語学校の雰囲気に触れ、楽しい気持ちになり、次の日に行われた野外ステージ『国際文化フェスティバル』も見に行きました。

1.ダンス“A Million Ways”  ラトビア・モロッコ・ポーランド・スウェーデン
  “OK Go”というアメリカの男性4人グループの歌で、EUの国で人気があるのだとか。
2.マーシャル諸島のフラダンス  マーシャル諸島・グアテマラ・台湾・インド
  マーシャルの学生が他の3名に伝授したのだそうですが、にわか仕込みとは思えないくらい上手でした。マーシャル諸島と台湾の学生は女性、グアテマラとインドの学生は男性です。
3.カンナムスタイル 韓国・中国・モンゴル・香港
  スーツ姿の、サングラスをかけた韓国人男性を4人の女の子が囲み、ちょっぴりセクシーで、ノリのいいダンスを披露してくれました。
4.サマン・ダンス  インドネシア12名
  2011年、ユネスコの無形文化遺産に登録されたアチェ州の踊りです。良く揃っていて会場から何度も拍手が沸いていました。特殊な発声の掛け声が印象に残りました。

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自国の伝統的な踊りだけでなく、多国籍の学生たちが国籍にこだわらず一緒に作り上げることを楽しんでいる様子が感じられました。文化外国語専門学校の先生によると、学生さんたちは文化祭に向けて毎日、時には授業に対するより熱心に練習を重ねていたそうです。

文化祭というのは、作り上げる過程を楽しみ、当日皆で楽しむお祭りなのだと改めて気づかされました。文化外国語専門学校には現在27ヶ国からの学生が在籍しているそうです。展示会場では、留学生たちがいろいろ説明をしてくれます。来年度の文化祭には、文化外国語専門学校にも足を伸ばしてみたらいかがでしょうか。

追伸:現代文化学部には日本語教員養成課程が設置されています。ご興味のある方は本学科教員にお問い合わせください。また、日本語学校に関心をお持ちの方は、日本語学校の日常をネタにした、『日本人の知らない日本語』1~4(メディアファクトリー)という漫画がお薦めです。

教授 齊藤眞理子


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教員が個別に対応する進学相談会が行われます。開催は11/16(土)、12/14(土)、1/18(土)の全3回です。観光、国際文化に興味のある方は小平キャンパスまでお越しください
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by bwukokusai | 2013-11-19 09:00 | 教員コラム