文化学園大学 国際文化・観光学科ブログ“小平の風”

bwukokusai.exblog.jp
ブログトップ

2014年 07月 15日 ( 1 )

民主主義的な選挙とは?

 国際社会に目を向けてみますと、内戦や対立があって治安が著しく悪化している国では、選挙を実施すること自体が大変難しい場合があるようです。たとえば、今年の4月30日、イラクでは国民議会選挙(日本でいえば、衆議院議員を選出する総選挙や参議院議員を選出する通常選挙に相当します)が行われましたが、投票日前から各地で選挙妨害を狙うテロが相次ぎました。また、5月25日には、ウクライナで大統領選挙が実施されましたが、この選挙結果に不満を持った武装派と政府軍が衝突して、50人ほどの死者が出ました。民主的な国づくりに不可欠だと言われる選挙ですが、これを当たり前に実施するまでには大変な苦労があるということでしょう。

 民主的な国を作るためには、当然選挙も民主的に行われなければなりません。具体的には、近年以降、選挙権資格を身分・財産・人種・信条・性別などによって差別しない「普通選挙」や1票の持つ価値をなるべく均等にする「平等選挙」などの考え方が、多くの国や地域で定着してきました。投票者の投票内容を非公開とする「秘密投票」も、民主主義的な選挙の重要な条件です。たいていの場合、これらの選挙方法は長い時間をかけて形成されます。

 日本の衆議院議員選挙を例にとりましょう。初の総選挙は1890年(明治23年)に行われましたが、この時選挙権を持っていたのは、25歳以上の男子で、しかも国税を15円以上納めている者だけでした。おまけに投票用紙に住所と氏名を書く欄がありました。1900年(明治33年)になりますと秘密投票が認められ、1925年(大正14年)には、25歳以上の男子全員に選挙権が与えられました。納税要件も外されましたので、これで、男子に関しては「普通選挙」が完了です。女性が選挙権を獲得したのは、第二次世界大戦後のアメリカ占領下のことです。各有権者がもつ1票の格差に関しては、現在においてもなお議論されていますから、「平等選挙」に関する改善の余地は大有りといったところでしょう。

 このように、当たり前だと思い込んでいる民主的な選挙は、実は長年の試行錯誤の結果で、しかも世界中で常識になっているわけでもありません。「政治学」を担当する教員として、選挙権を行使できる年齢になる前からこのことに気付いてほしいなと感じることがあります。

教授  中沢 志保  
[PR]
by bwukokusai | 2014-07-15 09:00 | 教員コラム