文化学園大学 国際文化・観光学科ブログ“小平の風”

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2014年 02月 11日 ( 1 )

電子図書館・電子書籍

  私が担当している授業で、電子図書館、特に世界有数のインターネット検索サイトを運営するGoogleが進めている、世界中の書籍を電子化し利用可能にするGoogle ブックスについて話しました(注1)。Googleの“世界中の情報を検索可能にする”という使命、どのようにGoogle ブックスの実現に取り組んできたのか、また、著作権法やこの構想に反対する全米作家組合や全米出版社協会との裁判の経過も紹介しました(注2)。
 そうした説明の上で、このGoogle ブックスについて、4つの立場のいずれを選択するかを聞いたところ、次のような結果になりました。
A 電子図書館に賛成 Google ブックスに賛成   8名 (11%)
B 電子図書館に賛成 Google ブックスに反対  54名 (73%)
C 電子図書館に反対 Google ブックスに反対   7名 ( 9%)
D 保留                            5名  ( 7%)
                             計  74名 (100%)

日本の著作権法上では、Google ブックスの電子化は明白に違法と私は考えますので、多くの学生がBを選んだのは、うなずける選択でした。一方、Aの肯定論者とCの否定論者が同じ程度の比率で存在することも、頼もしく感じました。
それぞれの代表的意見を紹介します。

Aの代表的意見:「Googleによる電子化というのは、デメリットよりメリットが大きいことが期待できると考えている。全てネットで済まされるような現在の社会に合わせ、インターネット上に電子図書館を築くというのは有効的であるはずだ。」

Bの代表的意見:「Googleが進めようとしているものは確かに便利ではあるが、問題点も多いというところから賛成できません。
  やはり著作権の問題、プライバシーの問題はとても根深く、その辺をきちんと整理し、信頼を得てからではないと難しいと思いました。また、Googleが独占的になることは怖いなと思いました。それこそ、著作権などでもめる場面が頭に浮かびました。
  電子化というものは今の世の中を考えれば、必要で便利であるが、Googleの件についてはもう少し考える必要があると思いました。」

Cの代表的意見:「書籍の電子化は、私は元々反対です。私は紙の匂いが好きですし、本自体にふれ、読まなければ読んだ気にならない。本というものは、手にとって見なければ意味がないと思っています。本自体にその「味わい」というものがあります。電子書籍化されてしまったら、その「味わい」も「におい」も「感覚」もすべてがいらなくなってしまう。「本」のなかにある文字を自分自身で読みとり、その本から伝わるものも、電子化したら薄くなってしまいそうで私は嫌いです。
 本のページ一枚一枚めくっていく事で、楽しくなったり、悲しくなったり、そのような感情が生まれてくると思います。それは電子化しても同じではないかと思われるかもしれませんが、「タップする」という行為ではなく、「めくる」という行為が好ましいのです。 
 とにかく、本の「味わい」というものは電子化では表現できないほどの特典なのです。それを無くしては絶対にいけないと思います。」

Dの代表的意見:「私は正直『D』の判らないです。Googleによる電子化によってメリットもデメリットも生じてきます。メリットは世界中のどこからでも見る事ができ、とても便利な機能。逆にデメリットは破損したり、スキャンミスすることによって本がぼろぼろになってしまう。それだけでなくプライバシーに関しての事が一切書かれていないので、危険である。賛成にしても反対にしてもこのように沢山の事が関係してきます。だから私はどちらかを選ぶことができなかったので、『D』にしました。」

 私はこの授業の最後に、1450年頃のグーテンベルクの活字印刷の開始から550年余を経た電子出版の興隆期に、今、私達が立ち会っていることの幸運を強く自覚されることを学生の皆さんに話しました。なぜなら、一人一人の選択により、次の時代が選び取られていくのですから。

 注1 http://books.google.com/books?hl=ja 出版社や図書館の協力のもとに書籍の全文をスキャンすることで、全文検索を可能としている。
 注2 一時、Googleと全米作家組合や全米出版社協会との間に和解が成立したが、その和解は裁判所の認める所とはならなかった。その後、アメリカの著作権法にある「フェアユース」(公正利用)に照らしての可否が争われている。2013年11月にニューヨーク連邦巡回裁判所(地裁)はフェアユースに該当し合法と判断したが、全米作家組合が上告している。

教授 瀬島 健二郎  
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by bwukokusai | 2014-02-11 09:00 | 教員コラム