文化学園大学 国際文化・観光学科ブログ“小平の風”

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2013年 10月 29日 ( 1 )

オバマケアと政府封鎖

10月前半の半月ほど、アメリカ政府の一部が閉鎖(shutdown)されました。この期間、政府職員約200万人のうち、80万人近くが自宅待機となり、観光客にも人気のスポット、自由の女神・スミソニアン博物館・グランドキャニオンなどは、軒並み立ち入り禁止となりました。与野党の対立が議会運営にまで及び、政府を動かすための予算承認ができなくなったためです。警察、軍隊、消防、航空管制など国民の生命に直結する業務は止まることはありませんでしたが、政府の行政機能は、ほぼマヒ状態となりました。

何が原因でこのようなことになってしまったのでしょう? 「オバマケア(ObamaCare)」と呼ばれる医療保険制度改革が連邦議会を真二つに分裂させていることが、最大の理由として挙げられます。日本では、病気やけがをしたら医者にかかりますよね。その時どれくらいの治療費を払っているかご存知ですか? 一般的に、保険証を提示すれば3割負担で済みます。つまり、国(税金)が7割を負担しているのです。国民のほとんどが健康保険に加入するこのような仕組みを「国民皆保険制度」といいますが、アメリカにはこれがありません。高齢者向けの「メディケア」と低所得者向けの「メディケイド」といった特定の人々が対象の公的保険があるくらいで、それ以外の人は、民間の保険会社の医療保険を選択(義務ではありません)するのです。当然のことですが、経済的な理由などで保険に入らない「無保険者」が出てきます。2010年現在で、アメリカの無保険者は、4,900万から5,000万人(実に6人に1人)にも上るそうです。

オバマケアは、この無保険者の保険加入を義務化するための制度改革です。この改革が施行されれば、2014年1月1日までに、全てのアメリカ国民は何らかの保険に加入することとなります。そのために、低所得者には一定の補助金が拠出されるとのこと。当然、財政への新たな負担が生じます。連邦政府の借金が法律で決められている上限にすでに達し(今年5月)、特別措置でやりくりしている状況下で、このような巨大な財政支出などとんでもないと猛反対しているのが野党共和党の保守派です。これが、今回の政府封鎖の主な原因となった政争の内実です。政府が借金を増やすのも問題ですが、貧しい人が病院に行けない状況も困ります。アメリカが直面している緊急課題の一つですね。

教授  中沢 志保


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by bwukokusai | 2013-10-29 09:00 | 教員コラム