文化学園大学 国際文化・観光学科ブログ“小平の風”

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2013年 06月 11日 ( 1 )

光を観る

「こんなときに観光で休みとは」、「ここも観光地化しちゃったね」、「あの人達は観光客だよ」、・・・。このように「観光」という言葉には何となくネガティブなイメージもあります。その「観光」客として、先日、長崎県の佐世保市にあるハウステンボスと長崎市を訪れました。

長崎空港からバスで北へ約1時間、1992年に開業したハウステンボスはオランダ語で「森の家」を意味し、オランダをテーマとした、敷地面積日本最大のテーマパークです。東京ディズニーリゾート、USJジャパンと並んで日本の三大テーマパークと言われたこともあるようですが、パークの立地や魅力の乏しさなどから、集客力が弱く(現在の年間集客数は東京ディズニーリゾートの10分の1以下)、経営破綻して再建の道を歩んできました。最近、新しい経営者がパークの内容や運営の改善、財務面での手当などに手腕を発揮し、開業以来初の営業黒字を達成したことをご存じの方も多いと思います。実際、いろいろなアトラクションや季節に応じたさまざまなイベントや企画(「100万本のバラ」など)によって、集客の努力がなされているのが分かります。このようにテーマパークは何もなかった場所に新しい「観光」地としての魅力を作って人を集めています。
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写真(筆者撮影)は、左上から右へ、ハウステンボスの入口、町並み、運河、スタッドハウスと花時計、風車、満開のバラ園です。広大なパークのほんの一部ですが、まるでヨーロッパです。

ハウステンボスからJRで1時間ほどのところには古くからの観光地・長崎市があります。坂の多い街・長崎は鎖国をしていた江戸時代に出島のオランダ貿易を中心に栄えた歴史の町であり、広島に次いで被爆し、「世界で最後の被爆都市」として世界的に有名です。
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写真は左上から、原爆の爆心地に立つ塔、平和祈念像、オランダ坂、大浦天主堂、グラバー亭、眼鏡橋です。これらは歴史的、文化的遺産であり、最初から観光のために作られたものではもちろんありませんが、いずれもさまざまな思いを抱かせ、人の心を引きつけ、人を集める観光地です。

日本で「観光」という言葉が使われ始めたのは江戸時代末期で、大衆が認知したのはオランダ国王から徳川幕府に贈られた蒸気船に名付けられた「観光丸」であると言われています。命名の意図は、進んでいる海外の実情を「観る」とともに我が国の意気を「観せる」ことでした。この「観光」が英語の「Tourism」「Sightseeing」の訳として使われるようになりました。

そして、「観光」の語源は、中国の儒教の経典・四書五経の一つ『易経』に出てくる「観国之光、利用賓于王」(国の光を観るは、もって王に賓たるによろし。)から、「観」と「光」を組み合わせたものと言われています。「観」はただ漠然と見ることではなく「よくみる」こと、そして「しめす」の意味もあり、「観る」と「観せる」の両方の意味をもっています。「光」とは政治、文化、風俗などのことで、国王の人徳と善政によりその国が光り輝いて見えることをいったようです。((財)日本交通公社『現代観光用語辞典』などによる)

観光立国を目指す日本には自然や温泉、伝統的な文化や歴史に関わる観光資源が豊富で、食事も美味しく、アニメ、漫画、ファッションなど、海外から高く評価されている「光」がたくさんあります。これらの「光」をうまく「観」せるのは、人々の「観光」に対する理解や関心と、「古くからの光」や「新しい光」に更に魅力を加えることのできる「おもてなしの心をもった人の光」ではないでしょうか。
                                                     教授 高橋 哲夫
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by bwukokusai | 2013-06-11 08:00 | 教員コラム