文化学園大学 国際文化・観光学科ブログ“小平の風”

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2013年 01月 22日 ( 1 )

水をとおして地球の歴史を探る

 本学には、他の大学にはあまり例のない、コラボレーション科目という科目群があります。様々な分野の先生が互いに協力して授業をするところから名づけられたもので、例年、夏休み明けの9月と春休み前の2月の1週間を中心に、開講されています。
 私は司書課程を担当していますが、コラボレーション科目では一昨年から地球科学に関する科目に、昨年は毎年6月に小平キャンパスで開かれるけやき祭の玄関装飾を制作する科目に協力しています。けやき祭の玄関装飾については、以前当ブログで触れたことがありますので(けやき祭 2010年6月http://bwukokusai.exblog.jp/10851986/)、今回は地球科学に関する科目をご紹介します。
 この科目は、「水をとおして地球の歴史を探る」と題し、地球に液体の水があることから生命が誕生し、その水が命あふれる地球環境を守ってきたこと、たまたま太陽が適度な大きさであったことから100億年という長い寿命を持つことになり、これまでの46億年という地球の歴史の中でゆっくりとした生命進化を支え、幾度と無く襲ってきた大量絶滅の危機を乗り越えて、ついには今日の現生人類の繁栄をもたらしていることへの理解を深めることを目的としています。たまたま、この科目を始めた2011年には3・11の東日本大震災が起こり、地球が生きている惑星であることを理解し、いかにすれば自然災害から生き延びられるかを知ることが、大切であると再認識しました。
 授業では、講義だけでなく映像や野外見学の機会を組み込むことで、理解を助けるように考えました。たまたま、この科目を開講する小平キャンパスは水に乏しかった武蔵野台地にある中では珍しく、水が豊かな日立製作所中央研究所や東京都立殿ヶ谷戸庭園に近いので、見学の機会を設けました。これらは野川の源流部になります。また、小平キャンパスのすぐ近くを流れる玉川上水を歩くと、小平市鈴木遺跡資料館が近くにあることに気付き、昨年から見学コースに追加しました。お鷹の道を歩き、武蔵国分寺を廻って西国分寺駅まで行くコースも魅力的なのですが、9月中旬の猛暑が予想される時期に熱中症の危険を冒すことはできず、実現できないでいます。
 中央研究所庭園や殿ヶ谷戸庭園は、国分寺の繁華街に隣接するにもかかわらず、中に入ると夏でも冷気に包まれ、近くを走る電車や車の騒音が、かえって静寂な空気を引き立てます。学生は「土がむきだしており足場の悪い道や、等間隔に生えていない樹木、冷たい湧水などを体感」することで、「自然の本来の意味を再認識させられました」、「国分寺に源流があるなど思っても見なかったのでとってもびっくりしました」「緑の芝生が異様にきれいであった」などと書いています。中には、また訪ねたいとの希望も書かれていました。皆さんも行かれる際は、中央研究所庭園は春と秋の年2回のみの公開になりますので、ご注意ください。2013年の庭園解放日の日程は現在未定ですが、以下のサイトに発表されます。
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 殿ヶ谷戸庭園は都立の有料公園で、12月29日から1月1日までの年末・年始を除く毎日開園しています。武蔵野の別荘庭園の中でも風致景観を最も良く残し、芸術上の価値も高いと評価され、平成23年9月に国の名勝に指定されました。
 鈴木遺跡は、昭和49年に発見された当時、都内最初の旧石器遺跡でした。武蔵野台地の中に石神井川の谷頭(こくとう)の浸食が切れ込むことで、この遺跡のあたりは、3万年から1万2千年ほど前の時代は水の豊かな環境であり、人々が移動生活を送った跡が遺跡として残ったのです。しかし、その後は水源が下流に移り水が乏しくなり生活の場では無くなりました。その後、江戸時代になり玉川上水が通水し、その水を引き込むことで新田開発が進み人々が移り住み、水車までつくられています。幕末にはその水車を使い幕府が火薬を製造したそうです。これらのことから、水が人々の定住生活に欠かせないことが分かります。その後、都市化の進展により現在のように住宅地に変わりました。この長い歴史が鈴木小学校の工事で発見され、その際に発掘された石器、落し穴、など数多くの品々を小平市鈴木遺跡資料館が保存しています。ちなみに、玉川上水は本学の新都心キャンパスの前を流れていましたが、今では暗渠になっています。資料館では学芸員の方に熱心に説明して頂きました。学生は「鈴木遺跡資料館は小さな建物ですが、旧石器時代の石器や人々の暮らしがよくわかります」と書いています。
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 鈴木遺跡資料館を出てから、新小金井街道の下をくぐって鈴木小学校に抜ける通学路のトンネルを通って、「古代の泉」を見学することができました。
 鈴木小学校は石神井川の谷頭の傾斜地を造成して作られ、新小金井街道はその谷が始まる場所を平坦に造成して通っています。その為、小学校の街道際は高い壁となっていて、壁の足元は水気が多く、地下水がしみだしています。そこで、小学校では「古代の泉」を作られたそうです。案内文には、「この池の水は、土の中から出てきた水で、水道の水ではありません。この水は小金井カントリーや小金井公園をぬけて、石神井川となって隅田川を通り、東京湾まで流れていくのです。ここが石神井川の始まりだということです。この水がいつまでもわき続けるといいですね。みなさんも大切にしましょう。」と書いています。
 古代の泉を見ると、地下水が湧き出して池を作り、確かに池から水が流れ出していることが見えます。これらの水は、小学校から排水されるのですが、表流水とはなっていない様子です。石神井川の源流は河口から小金井カントリークラブ当たりまでは追跡されていますが、この古代の泉が石神井川の源流に当たるかは、意見の分かれる所のようです。
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 この授業では、このようにして講義の他に、近場の見学を組み込んだ3日間の日程を終えました。学生の中には、「あそこまで険しい場所に行くとは想像しがたい」という感想もありました。私のような山深い田舎で育った者とのギャップは大きいようです。しかし、30度を超える日中に決行した体感する授業でしたが、楽しさに気付いたと書いてくれた学生もいましたので、今後も続けようと考えています。

・日立製作所中央研究所庭園
 構内の自然     http://www.hitachi.co.jp/rd/crl/nature.html
 庭園開放日のご案内 http://www.hitachi.co.jp/rd/crl/garden/teien.html 
・東京都立殿ヶ谷戸庭園 
  http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index036.html
・小平市鈴木遺跡資料館
  http://www.city.kodaira.tokyo.jp/kurashi/001/001374.html
                                             教授 瀬島 健二郎
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by bwukokusai | 2013-01-22 09:00 | 教員コラム