文化学園大学 国際文化・観光学科ブログ“小平の風”

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2010年 06月 08日 ( 1 )

観光のまなざし―どうして記念写真はワンパターンなの?―

今日6月8日は、関東地方の平年の梅雨入り日だそうです。梅雨のない北海道で生まれ育ち、東京暮らし初心者の私には、梅雨に入るとか、梅雨が明けるという感覚が正直よくわかりません。とにかく天気予報で梅雨入り情報に耳をかたむけるばかりです。

ところで、このように梅雨入りの日だとか、桜の開花日だとかをきちんと決めることはそんなに大切なことなのでしょうか? 私たち現代人はことさら、科学的や客観的と思われる尺度で物事を整理しようとすることが好きなようです。

観光のことを考えてみましょう。ホテルもレストランも観光地も格付けや人気ランキングがあふれています。なかでも2007年から東京版が発売されている『ミシュランガイド』は代表的です。三ツ星は「そのために旅行する価値のある卓越した料理」で、1000軒以上のレストランから、ミシュランの覆面調査員のレポートをもとに選定されたものです。星の着いたレストランは、とたんに予約で一杯になります。「星がついているレストランで食事をしてみたい」「星がついているのだからおいしいに違いない」というのが客の心理ではないでしょうか。同じくミシュランが観光地を評価した『グリーンガイド』で三ツ星のついた高尾山は、とたんに人気が上昇しました。

私たちの観光行動では、多くの場合、ガイドブックやテレビなどのメディアからイメージ(表象)を得てから、実際に行って直接体験することで“満足感”を得るのです。このことを最初に指摘したのが、イギリスの社会学者ジョン・アーリ(Jhon Urry)『観光のまなざし―現代社会におけるレジャーと旅行―』(法政大学出版局)です。旅行者の“まなざし”は、直接体験の場よりも、メディアから得られた表象のほうに向けられているとも指摘しています。

かくいう私も、シンガポールでこんな写真を撮りました。定番のマーライオン像のところで、定番のポーズでシャッターを切る。誰しもやっていることを自分もすることが“記念”の1枚になるのですね。同じ構図の写真を持っている人はいったいどれくらいいるのでしょうか?
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                                                        助教 栗山 丈弘
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by bwukokusai | 2010-06-08 10:07 | 教員コラム