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文化学園大学 国際文化・観光学科ブログ“小平の風”

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言葉を勝手にはしょるな-雑感-

我が家の最寄り駅近くのドーナッツ店に行った時のことです。私の前にいた女性、店員との間で注文を終えて、「お持ち帰りですか?」と聞かれ、「はい、持ち帰りで。」次に私が注文をすると、「お召し上がりですか?」瞬間、口には出しませんが、(てやんでえ、食うから来てるに決まってるじゃあねえか)と、鼻白む思いです。「(店内で)お召し上がりですか、それともお持ち帰りですか。」英語だったら”For here, or to go?” と、はしょらずに言ってくれればこういうことにはならないはずです。

全体を言わずに一部だけを言うために、意味が通じなかったり、おかしなことになる場合がよくあります。格言「情けは人のためならず」の意味を正しく理解していない若者が多いと嘆く人が多いようです。私の祖母は常に「情けは人のためならず、巡りめぐりて己(おの)がため。」と言っていましたので、それを聞いて育った私は小学生の頃からその意味を取り違えようはありませんでした。今、誤解している若い人でもこのように聞けば、その意を取り違えることは少ないでしょう。

例その二、「おんぶに抱っこ」。至れり尽くせり、という意味に用いている人が多いようです。これなども、本来は「おんぶすれば抱っこ、抱っこすればおんぶ」で、子供をあやす時など、どんなに手を尽くしてもなかなか満足してはくれない、厄介で手に負えない様を表す表現であると私は理解しています。至れり尽くせりの意味では「乳母日傘(おんばひがさ)」とか「上げ膳据え膳」という表現があります。

およそ言語というものは時代と共に変わっていくものですから、そのこと自体に横槍を入れるつもりはありません。ただ、学生を前にして人を褒めるようなとき、「あの人は切れ者で・・・」等と表現しようものなら、思ってもいない意味に受け取られて狼狽することがあるのが残念なだけです。さりとて、「あの人は才気煥発(さいきかんぱつ)な人で・・・」なんて言ったら余計に分からない人が増えるでしょうから。


                                                       教授  伊藤 敏郎
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by bwukokusai | 2010-02-16 16:28 | 教員コラム