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文化学園大学 国際文化・観光学科ブログ“小平の風”

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観光立国最新事情・「免税」と「カジノ」

 最近は以前にも増していろいろなところで地図や案内書をもった多くの外国人旅行者を見かけるようになりました。至近の日本政府観光局(JNTO)の発表によれば2014年1月から9月までの入国者数は約974万人と前年対比26%の伸びを示しています。もし、12月までこのままの伸び率が保たれれば2014年の訪日外国人数は、初めて1,000万人の大台に達した昨年の1,036万人を大きく上回る約1,300万人になるでしょう。

 10月からは外国人旅行者に対しての免税品目が、従来の家電、バッグ、衣料品等から全ての物品に拡大されています。これによって食料品、飲料品、医薬品、化粧品などの消耗品も免税(非居住者1日1店舗5千円~50万円までの買い物)の対象となりました。外国人旅行者にとって「観光」や「食事」とならんで「買い物」が日本の大きな魅力であり、免税の許可をうけたデパートなどでは既に、外国人旅行者の旺盛な購買意欲によって売上が急増しているようです。免税品を販売するには所轄の税務署に許可を得て免税店となる必要がありますが、この施策は外国人が日本を訪れる追い風となり、また日本の消費拡大の一助となっています。(下はJapan Tax-free Shopのロゴ)
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【参照】
「輸出物品販売場制度の改正について」(国税庁)
(http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/pdf/yusyutuseido_kaisei.pdf)
「日本の免税店制度が変わります」(観光庁)
(http://www.mlit.go.jp/common/001026664.pdf)

 さらに今話題の観光立国施策として、現在国会で審議されている「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」いわゆる「IR推進法案」があります。IRとはIntegrated Resort(統合型リゾート)の略で、MICE (会議、大会、博覧会、イベントなど)施設やホテル、レストラン、ショッピングモール、アミューズメントパーク、劇場、スポーツ施設などに「カジノ」を含んだ複合観光集客施設のことです。シンガポールやマカオなどで見られる形態です。
「IR推進法案」は別名「カジノ法案」と呼ばれ、カジノを日本で認めるかどうかがポイントとなっています。法案が成立すれば、現在日本で認められている賭博、いわゆる公営ギャンブル(競馬、競輪、オートレース、競艇、宝くじ、スポーツ振興くじ)にカジノ(賭博場)が加わることになります。
 シンガポールでは長年カジノを禁止していましたが、2005年に観光産業の活性化を目的に解禁を決定し、2010年にユニバーサル・スタジオ・シンガポールや世界最大級の水族館マリーナ・ライフ・パークをメインアトラクションとして持つ「リゾートワールドセントーサ」、そしてスカイパーク(空中庭園)と世界一高い場所(地上200m)にあるプールで有名な「マリーナベイサンズ」、というカジノを含んだ二つのIRが建設されました。シンガポールの人口は日本の約4%、国土の広さは東京23区と同程度ですが、ここを訪れる外国人旅行者数は2009年の968万人から、2013年には1,550万人と拡大しています。
 このようにIRは外国人旅行者を増やし、投資の増加や雇用の創出といった地域経済の活性効果があります。一方で、カジノには、ギャンブル依存症の拡大、青少年への悪影響、治安の悪化、暴力団など反社会的勢力の資金源になる恐れなどのマイナスの面があることも事実です。これらのマイナス面に対しては厳しい対策が必要となります。
 IR推進法案が今国会(11月末まで)で承認されるかは不透明ですが、今後さまざまな議論がなされ、「住んでよし、訪れてよしの国づくり」を基本理念とした観光立国として、継続的に外国人旅行者が増えていくことが望まれます。

教授 高橋 哲夫
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by bwukokusai | 2014-10-28 10:00 | 教員コラム