文化学園大学 国際文化・観光学科ブログ“小平の風”

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≪ 英語俳句で広がる世界観 ≫

アメリカのある大学で学部長を勤めている私の友人は、詩人でもあり、英語で俳句を書くのが得意です。彼は数々の賞もとっていますが、その週の新作を私にメールで送って来ては、日本人である私の意見を求めます。忙しくてまめに返信出来ていないものの、気分をリフレッシュさせてくれる句に出会えることも時々あります。
 
最近私が気に入った彼の句を、紹介しましょう。

melting snow
a cardinal pecks at
fresh water

何とも言えないすがすがしい冷たい空気と静寂が感じられる俳句です。 cardinal はショウジョウコウカンチョウという鳥ですが、ローマ・カトリックの枢機卿が身につけている衣と帽子の緋色を思い浮かべて下さい。

この句の素晴らしいところは、雪によって寒色系の白を呈示したのちに、鳥の赤い暖色をもってきて、絶妙なコントラストを示している点だけではありません。鳥は、雪解け水の流れにくちばしをよせ、ついばむようにこれを飲んでいます。読者はここで、生き生きとした色を持つあらゆる生命の源が、実は無色透明な水であることを実感できるのです。美しい色を持った鳥の咽喉元を過ぎていく清らかな水を想像して、心の中でその姿を静かに見つめている自分を感じませんか?

あらゆるものが融合し共感しあっていくような優れた俳句の世界観は、とても奥深く、そして大変素直です。芭蕉の例でも解かる様に、その世界観は宇宙観と言っていい広がりに到達することも多く、読み手も読者も一個人の経験を超えて万物とつながっていくことができます。

また、俳句は凝縮された魅力を持つ文学の一形態です。アメリカ作家のエドガー・アラン・ポーは、短編小説の名手としても知られていますが、19世紀においてすら、「我々の忙しい時代には one sitting の文学(一度すわった間に読みきれる文学作品)が望ましい」と述べていました。あなたが、(心を亡くすほど)忙しければ、心を豊かにしてくれる文学はなおのこと必要です。俳句は、文字を読むのは一瞬に近かったとしても、句意を推し量り情景を思い浮かべながら、その味わいは心の中で刻一刻と深まっていきます。その過程において、俳人が卑近なものを高みへと移行させていった感覚を共有することも出来ます。是非、英語俳句を通して、英語と文学両方の世界を広げていって下さい。
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教授 久保田 文


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by bwukokusai | 2013-12-09 00:00 | 教員コラム