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文化学園大学 国際文化・観光学科ブログ“小平の風”

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ナショナル・トラスト(The National Trust)

今年6月22日に富士山が世界遺産に正式に登録された。世界遺産は、1972年ユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」に基づいて登録された文化遺産や自然遺産であるが、民間団体も歴史的建造物や自然の保護・保存に力を入れている。その1つがナショナル・トラストである。今回はこのナショナル・トラストについてふれてみたい。

ナショナル・トラストは、自然環境や歴史的建造物保護を目指す英国の民間の非営利団体である。19世紀の英国では産業革命が進んでいたが、その産業革命により都市化が進み、田園地帯が開発の波に押され自然破壊が進んでいった。そのような状況の中で、自然環境や歴史的建造物の保存を進めるためにナショナル・トラストという組織が、1895年弁護士のロバート・ハンター、社会事業家・婦人運動家のオクタビア・ヒル、牧師のハードウィック・ローリンズの3人により設立され、運動が始まった。ナショナル・トラストは、国民の手で美しい自然や歴史的建造物を永久的に管理すると同時にその資産を国民に開放し、少数の富裕者による支援ではなく、広く国民に浸透した組織作りを目指している。

「ピーター・ラビット」の作者のビアトリクス・ポッターは、このナショナル・トラストと深いかかわりがある。ポッターは上記のローリンズ牧師から自然保護に関して多大な影響を受け、ナショナル・トラストの設立前から最大の協力者となっていた。ポッターはイングランド北西部の湖水地方に住み、その風景と暮らしを絵本に描きながら、農場などを次々と購入し環境保全活動に参加していた。彼女の死後、4,000エーカーの土地をはじめ全ての資産がトラストに寄贈された。現在、ナショナル・トラストが湖水地方の約3分の1を保有している。英国全体では、350箇所以上の建造物や遺跡を保有し、その総面積は25万5,000ヘクタール以上にのぼる。 そして、多くの会員とボランティアが活動を支えている。バーナード・ショーやウィンストン・チャーチルの邸宅、ビートルズのジョン・レノンやポール・マッカートニーが少年時代住んでいた家等もトラストは所有している。

英国の他、オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、アメリカ、マレーシア、バミューダ、フィジー、ジャマイカ、韓国、台湾、日本などにもナショナル・トラスト運動は広がっている。

日本では、1964年に鎌倉を乱開発から守るために、作家の大佛次郎が立ち上がり、鎌倉市民と共にナショナル・トラスト活動を展開したのが始まりである。

教授   石田 名都子


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by bwukokusai | 2013-12-03 09:00 | 教員コラム