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文化学園大学 国際文化・観光学科ブログ“小平の風”

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銃社会、それとも銃のない社会?

皆さんは、警察官すら銃を持たない社会があることをご存知ですか? 先月21日付の朝日新聞が、銃の所有が一切禁じられている南太平洋の孤島を取り上げていました。ポリネシアにある米領サモアです。『月と六ペンス』の著者、サマセット・モームの短編小説『雨』の舞台となった島だそうです。この島では、野豚から農作物を守るためのライフルを除いて、銃は所有も使用も禁止されています。丸腰の警察官が持ち歩きできるのは手錠だけと言いますから、まさに「最後の楽園」のような場所ですよね。

けれどもグローバリズムの波は南半球のこの孤島にも押し寄せ、「楽園」では、現在、警察官の銃保持についての是非が議論になっているとのことです。銃を持ちこむ外国人や銃の密輸が増え、とうとう3年前には警察官を射殺する事件が起きたためです。「凶悪犯が入ってきても、銃すら持たないサモアの警察官は市民を守れない」という銃保持派の意見に対して、「みんなが銃を持つから、自分も持たなければ身を守れないと感じるのだ」という反対派が真っ向から対峙する状況になっているようですね。

ところで、本国であるアメリカ合衆国は、人口をはるかに上回る数の銃が氾濫する「銃社会」です。昨年の12月に、コネティカット州の小学校で26人が殺される痛ましい事件が起きました。このような事件が起きるたびに、一般市民の銃の所持を規制しようという意見が出てはくるのですが、最終的には「銃の所持は、合衆国憲法が認める市民の権利」という意見の方が優勢になってしまうようです。

憲法が一般人の銃所持を認めているなんて、日本では分かりにくいことですよね? 具体的には、合衆国憲法の修正第2条(1791年採択)を指します。引用しますと、「良く規律された民兵は自由な州の安全にとって必要であるから、武器を保持し携帯する人民の権利は侵害されてはならない」というものです。全国的な警察組織が整備されていない建国当時に採択された条項が、まだ効力を持っているのです。それに、条項の全体を読むと、武器の保持と携帯が許されるのは、「人民」というより「民兵」と解釈した方が自然だと指摘する法学者もいます。

銃社会、それとも銃のない社会、あなたはどちらを選びたいですか?


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                                                  教授 中沢 志保
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by bwukokusai | 2013-06-25 12:04 | 教員コラム