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文化学園大学 国際文化・観光学科ブログ“小平の風”

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未開発の君に・・・ 

 つい最近、原発存続の可否について、学生達と話していた。皆、原発のために悲しみや不安を抱える人々のことを気の毒に感じているのに、半ば諦め顔でこう言う。「でも、資源のない国だから、仕方が無いのかもしれません。」そんなことは、ない。例えば、現在技術開発中の藻類の培養を進めれば、(とうもろこしなどより、はるかに効率的に)油を生産できるようになり、日本は産油国にもなれる。風力発電についても、騒音などの心配が少ない海上の浮体式を用いれば、計算上は日本全体の消費電力量を全てまかなえる。更に、領海と排他的経済水域の合計が世界6位の広さである日本は、波力発電をおし進めることによって、資源大国となる大きな可能性も持っている。(雑誌Newton 2012年1月号等)今まで、日本国内でのこういった研究は、国策を操る原発推進派によって押さえこまれていたため、あまり資金援助を受けられず、アブダビなどの遠い異国の方が積極的に日本の企業を招いて、自然エネルギーを利用する技術開発を進めている。中東といえばオイルダラーと思う人も多いだろうが、砂漠の中に建設された新エネルギー巨大都市マスダールシティの出現が物語るように、湾岸諸国はとっくにクリーン・エネルギーへと舵をきっているのだ。(NHKスペシャル灼熱アジア第2回等)

 「原発をやめると、電気代が高くなるのではないですか?」と言う人達に、教えたい。立川市では2010年から市営競輪場の電力供給を東電からPPSに乗り換えて、電気代は約3割安くなった。(SAPIO 2012年1月号)私たちの支払う電気料金は、東電の莫大なCM料となり、メディアの論調をもゆがめてきた。震度4にして福島原発4号機がこの先何年も日本列島の半分を危険にさらし続ける破壊力を持つことも、報道されることはほとんどない。また、私たちの支払った電気料金は、東電を通して原発周辺地域を寄付金漬けの場所にしてしまった。これらを知った上で、原発は安上がりだ、などとなぜ言えるのだろう?人の命やいきいきとした生命力、福島や宮城、茨城出身に限らず子ども達の未来がかかっているのに、他人の安全などどうでもよいエゴイズムと、(マザー・テレサが愛の対極にあるものと呼んだ)無関心とが、見えない大きな妖怪のようになってこのシステムを支えているとしか思えない。

 確かに、津波の際、世界は日本に深く同情してくれた。vulnerable Japan (弱く傷つきやすい日本)というイメージ自体が、彼らにとっては新鮮なものなのだ、と私も外国人と話す度に感じた。しかし、その後の原発をめぐる不手際や無策については、「汚染国」、そして世界に汚染水を流した国として、厳しい目を向けて批判している。

 日本では、アフリカに対して手をさしのべなければならない国というイメージだけを持つ者が多いようだが、セイシェルのような国は理想的な発展をとげている。美しい自然を守りながら、人数制限をかけた観光客にも自然を大切にさせて、豊かにクオリティ・オブ・ライフを上げている。(国民は、高等教育や医療に関してもほとんどお金がかからない。)セイシェルの大統領は、原発について意見を求められた時、「津波から復興しようと努力している人々に大きな敬意を払います。しかし、日本の政治家の皆さんは、環境を守ることこそが国民を守ることだということに思い至るべきではないでしょうか?」と答えた。彼らの方が、よっぽど優れて進んだ賢人である。

 日本を資源の少ない国だと見るように育てられてきた君が、海洋資源等の面から日本を見た時、何と豊かな国だろうと見方が変わるに違いない。同じことは、君自身についても言える。自分自身のキャパシティを見くびったり、環境が悪いから仕様が無いとあきらめたりする前に、もっといろいろなことに挑戦し、自分自身の可能性を探っていこう。きっと君には、未開発の素敵な部分がたくさんあるはずだ。その部分は、発掘開発のための小さな勇気なくしては、決して開花はしない。ただ自分をみつめているだけでは、自己発見や自己開発は難しい。あれこれ考える前に少し視点を変えて、今までと違うことにも挑戦してみよう。We have nothing to fear but fear itself. (案ずるよりも産むが易し)時には、自分を捨てて、ただがむしゃらに他人のためにがんばってみたりして・・・、そのうち気が晴れて一回り大きくなっている自分を発見することもある。さあ、つま先を今までとは違った方角へ向けて、最初は小さくても一歩を踏み出そう!
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                                                        教授 久保田 文

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by bwukokusai | 2012-07-03 10:30 | 教員コラム