「ほっ」と。キャンペーン

文化学園大学 国際文化・観光学科ブログ“小平の風”

bwukokusai.exblog.jp
ブログトップ

2012年、観光がひとを動かす

 今年のゴールデンウィークは、空、陸ともに、大いに活況を呈しています。航空各社の発表(日本経済新聞4月20日付記事)によると、日並びがよいことや円高の影響などで、国内線、国際線ともに、4月27日~5月6日の間、予約数は前年比で2割以上の増加となっています。また、この間のJR6社の予約(同記事)は、新幹線と在来線特急の合計で前年比41%増、震災の影響で34%減となった昨年から一転して大きく伸びています。JR東日本の予約は震災前の2010年と比べても11%増え、同社によれば、「観光目的に加え、被災地にボランティア活動に出向くひとも多い」ことから、東京と東北の被災地を結ぶ東北新幹線は2010年比で25%増と大きく伸びているとのことです。

 関東と海外の、ひとの動きを期待させる今年の新しいできごとを見てみましょう。

 1.東京スカイツリーと東京スカイツリータウン
 今年、国内で最も注目すべきは何と言っても開業が一ヵ月以内に迫った5月22日の東京スカイツリーでしょう。(H/P:http://www.tokyo-skytree.jp/参照。スカイツリーの様子がよくわかります。)タワーの高さはご存知、「武蔵の国」の語呂合わせで、634(むさし)m、東京タワーの333mを遥かにしのぐ世界一の高さの電波塔であり、日本一高い建築物でもあります。地上350mには約2,000人を収容すると言われる天望デッキがあり、また、地上450mには約900人を収容する天望回廊があります。これらの場所からの眺めはまた格別でしょう。
 スカイツリーへの来場者は年間数百万人、東京ソラマチや商業施設(ショッピングセンター)、プラネタリウム(ドームシアター)、水族館、オフィス、教育関連施設、電波塔、展望施設などから構成される東京スカイツリータウン周辺地域全体での集客効果は、東京ディズニーリゾートを上回り、年間三千万人とも言われています。
 その周辺地域で一つ注目したいのは、浅草寺の雷門前に建設された地上8階、地下1階の建物「浅草文化観光センター」です。著名な建築家である隈研吾氏が設計した、日本家屋を積み重ねたようなユニークなデザインが特徴の大型の観光案内所で、4月20日にオープンしました。上層階には展示スペースのほか、浅草の街やスカイツリーなどを一望できる展望テラスも設けられています。浅草地域の観光客は今後も増える見通しで、英中韓の3ヵ国語に対応し、海外から訪れる人にも幅広く観光情報を提供し、地域振興につなげようというものです。

 2.大型商業施設の誕生
 4月13日に千葉県木更津市にオープンした「三井アウトレットパーク 木更津」は、東京湾アクアラインの木更津金田ICに隣接しており、首都圏広域から多くのひとを呼び寄せるでしょう。また、来年春には、「酒々井(しすい)プレミアム・アウトレット」が成田国際空港から車で約15分の千葉県印旛郡に開業予定です。木更津、酒々井の両アウトレットとも、近隣のマーケットのみならず、それぞれ羽田、成田の両空港からのアクセスがよいことから、海外からの観光客など、空港利用者の来場も大いに期待できるでしょう。
 更に、ホットなニュースとして、今春は東京で、二つの大きな新規商業施設がオープンしています。ひとつは4月19日にオープンしたお台場地区の商業施設「ダイバーシティ東京プラザ」、もう一つは4月26日にオープンの渋谷駅前(旧東急文化会館跡)「渋谷ヒカリエ」です。東京の街に新たな魅力を加える新名所と言えましょう。ゴールデンウィークには大いに賑わうことと思われます。

 3.麗水万博
 お隣の韓国で、「生きている海、息づく沿岸」をテーマに、海と人類の共存を目指して、5月12日から8月12日まで、麗水(ヨス)国際博覧会(ヨス Expo 2012)が開催されます。麗水市は、全羅南道にあり、海に面した都市で、釜山と済州島の中間あたりに位置しています。海上に建設される海上展示館は世界で初めてのものです。また、日本館は外国館としては最大規模で、「森・里・海、つながり紡ぐ私たちの未来」をテーマとして、昨年の東日本大震災の津波被害からの復興状況や、海との共生のための最新技術を発信します。

 4.ロンドンオリンピック
 言うまでもなく、今年最大の海外イベントは何と言っても夏に開催されるロンドンオリンピックでしょう。ロンドンオリンピックは、7月27日から8月12日までイギリスのロンドンで開催される、夏季オリンピックとしては第30回の記念すべき大会です。 また、ロンドンでは1908年と1948年にも開催されたことがあり、同一都市での3回開催はオリンピック史上初となります。各国の選手が力と技を競い合い、素晴らしい感動のシーンをたくさん見せてくれることでしょう。

 ひとの動きを創り出すのはこうしたイベントだけではありません。交通の発展も重要な役割を果たします。先日、新東名高速道路が開通し、渋滞緩和やひと・ものの流れの促進に大きな役割を果たしています。そして、今年は何と言っても、日本国内で、ピーチ・アビエーション、ジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパンの3つのLCCが相次ぎ就航する「LCC元年」です。これらのLCCが今後ひとの流れを大きく拡大していくことでしょう。

 LCCはLow Cost Carrierの略で、「低コスト航空会社」を意味しますが、「格安航空会社」と一般的に言われており、ご存知のとおり、提供する運賃は大手航空会社が提示する正規料金の3分の1から半額程度というのが特徴です。「空飛ぶバス」とも呼ばれるLCCは、バスのように気軽に利用できることから、今まで飛行機を利用したことがなかった層に需要を拡大し、ひとの動きを活発化し、経済を活性化する大きな役割を担っていると思います。
 既に3月にピーチ・アビエーションが関西国際空港を拠点に運航を開始し、同月のロードファクター(有償座席利用率)は80%以上と業績は好調に推移しているようです。また、7月に成田と関空を拠点に就航を予定しているジェットスター・ジャパンが先日、運賃を発表しましたが、既にピーチ・アビエーションとの間で低価格競争が始まっています。さらには、8月にはエアアジア・ジャパンも成田を拠点に就航します。これから、LCCの拡大によってLCC同士や大手航空会社とだけでなく、鉄道との顧客獲得競争も激しさを増すと思われ、今後のLCCの動向から目を離せません。

 4月16日から4日間にわたり、第12回世界旅行ツーリズム協議会(WTTC=世界のツーリズム関連企業の主要100社の経営者で構成)グローバルサミットが東京及び仙台で開催され、世界53ヵ国から延べ約2000人が参加しました。サミット開催に合わせて実施された東北ツアーでは、海外メディアや旅行会社などからの参加者約100名が、世界遺産に登録された岩手県・平泉をはじめ、東日本大震災から復興が進む東北3県の現状を視察しました。日本の観光が復興し拡大していくことを世界が応援し、期待しています。
 WTTCによると、ツーリズム産業による経済効果は2011年時点で世界のGDPの9%を占め、年間6兆ドルの波及効果を生み出しています。ツーリズム産業は世界で2億5000万人の雇用を生み出し、国際間の移動は年間約10億人に達します。10年後にはさらに拡大し、経済効果は年間10兆円、世界GDPの10%を占めるまでに拡大すると試算されています。

 「観光はひとを動かす」、「ひとを動かすことこそ観光の役割」と言われますが、これからの観光の活性化が日本と世界のひとびとの平和で元気な暮らしに繋がってほしいものです。
                                                       教授 高橋 哲夫

文化学園大学 現代文化学部 国際文化・観光学科のHPはこちら
[PR]
by bwukokusai | 2012-05-01 10:15 | 教員コラム