文化学園大学 国際文化・観光学科ブログ“小平の風”

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 映画『ALWAYS 三丁目の夕日’64 』が公開されています。これが3作目の人気シリーズで、それだけに、テレビや雑誌、インターネットなどで、公開前から「古き良き昭和」「あのころの人々の良さ」などのことばを使いながら多くのレビューがされていました。

 今「昭和ブーム」だと言われます。昔から「衣食住」の「衣」であるファッションについては、流行は何十年に一回繰り返すものだと言われ、映画が舞台とする1960年代のファッションがリバイバルしていたことがありましたが、最近は保存食づくりから昭和の雰囲気の雑貨やインテリア、「昭和のマナー」など、「食住」の部分や生活スタイルも流行していて、それを自分の生活に取り入れようとする人たちも多いです。そのようなムードがあるからこそ、『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズが好まれているのでしょう。

 ものごとはなぜ好まれたり興味を持たれたりするのでしょうか。
 いろいろな要因がありますが、その一つに「自分にはないものだから」というのがあります。今の自分の日常とまったく同じものを、人はおもしろいと思いません。自分と違う部分を見出して喜ぶのです。
 つまり、「昭和」が「自分の時代」でないという人が増えているからこそ、自分の中にはない「昭和らしさ」を見直し、良さを再発見するという流れが来ている…と。昭和時代人としては複雑な気分です。

 「自分にはないもの」を喜ぶといえば、外国や外国文化をテーマとするテレビ番組も昔から多いですね。
 私が「昭和」のころ見ていたそのようなテーマの番組は、教養番組もバラエティも、みな「未知の外国を紹介する」という視点で作られ、私たちは「外国ってこうなの!」という受け取りかたで楽しんでいました。ストレートに、外国の文化を「自分にはないもの」として楽しんでいたわけです。

 その後、「日本を外国から見るとこう見える」という視点から作られる番組が人気を博しました。『ここが変だよ日本人』というバラエティ番組がありましたっけ。外国人目線という「自分にはない」角度から自分自身を見直し、これまでとは違う自分の見え方を知って「私たちってこうなの!」とその違いに驚き、おもしろがっていた(…というより反省していた?)のですね。

 今もその流れがありますが、その他に、日本のある地域独特の文化や風習をおもしろがる番組が出てきたり、“ガイコクジン”一般が日本について意見をするのでなく、いろいろな国の人がその国の視点から日本について語る番組が出てきたりしています。これらの番組には、「“ガイコク”といってもひとくくりに出来ない」という意識、また「日本といってもひとくくりに出来ない」という意識があるように思います。一昔前の“ガイコクジン”一般vs.日本という構図より、複雑でより自由な感じがします。

 では、この次は?
 私は多様な「外からの視点」がよって立つ立場そのものをもっと知り、それらから自分がどのように見えるのか、なぜそう見えるのか、「良くも悪くも」であるその多様性をおもしろがりつつ考える番組が出てきたらぜひ見たいと思っています。

 そうなると、日本の姿は、さまざまな色の光源から来る光を多面体で反射するミラーボールのようなイメージになります。日本って何色ですね、って簡単には言えなくなりそうですね。
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                                                       准教授 星 圭子

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by bwukokusai | 2012-02-14 09:00 | 教員コラム