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文化学園大学 国際文化・観光学科ブログ“小平の風”
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入学したら遊ぶぞ!と考えているあなたへ
 まだ大学に入ってもいないのに、就職のことなんて・・・と思っている高校生の皆さん、もちろん実際の就職活動は3年生の12月スタートですが、それまでにしておかないといけないことは山のようにあります。国際文化・観光学科ではそのために1年次からさまざまのキャリア形成関連科目を用意しています。
 まず1年生に入ってすぐの「キャリアデザイン(導入編)」は文化学園大学全学生の必修科目です。長野県飯山市にある北竜温泉・文化北竜館での二泊三日が待っています。学友たちと泊まり込み、露天風呂を楽しみながら大学生活4年間で何を身につけるか、どのような社会人になるかをデザインするのです。季節はちょうど今頃、例年ならば北竜湖は菜の花で埋まっているはずですが、今年は春の訪れが遅く、まだ咲いていません。代わりに麓・千曲川沿いの菜の花公園の眺めをお楽しみください(写真提供:栗山丈弘先生)。

 2年生になると夏休み、春休みを利用した「キャリアプラニングⅠ・Ⅱ」があります。それぞれ三日間の短期集中プログラムで、国際文化・観光学科の学生は必修です。
 1日目は就職試験の鍵となる基礎学力養成講座(国語・数学・時事問題)、2日目、3日目は企業におじゃまし、トップ・最前線の方のご講話を拝聴したあと企業活動の現場を体験します。2011年度は(株)日本航空様、(株)BEAMS様に伺い、トップの方の貴重なお話を伺ったあと、現場で脱出訓練・商品ピッキングなどの貴重な体験をさせていただきました。写真はJAL整備場での先輩たちの笑顔です。

2012年度もサプライズな企業を用意しましたよ。ご期待ください。

 「インターンシップA・B」(企業研修)も重要です。この科目は昨年度まで3年生向けでしたが、今年度から国際文化・観光学科生は2年生から履修できるようになりました。夏休みの2週間、企業の一員として業務内容を学びながら、自分の職業適性を考え直そう、というものです。2011年度、皆さんの先輩を受け入れてくださったのは、(株)帝国ホテル・(株)フォーシーズンズホテル椿山荘・(株)プリンスホテルなどの宿泊系企業、(株)JTB・(株)南西楽園ツーリストなどの旅行系企業、(株)JALスカイなどの輸送系企業のほか、味の素(株)の人事部門、(財)日本ナショナルトラストの保護資産公開部門、文化出版局の『ミセス』編集部門などなど、多彩な顔ぶれがそろっています。


 これらのキャリア形成関連科目で実社会への関心と就職への心構えを養うこと、さらに国際文化・観光学科で用意されている豊富な英語カリキュラムを学びTOEICの点を1点でもあげること、この二つがあなたの就職活動を実り多いものにしてくれるはずです。遊んでいる時間はありません。3年生の12月はすぐに来てしまいますよ。

                                                       教授 三島 万里

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# by bwukokusai | 2012-05-15 17:47 | 教員コラム
責任ある観光者および旅行者として
 世界観光機関(UNWTO)は、第13回総会(1999年9月27日~10月1日)において、世界の観光のステイクホルダー(すべての観光関係者)が守るべき観光倫理規定(Global Code of Ethics for Tourism)を定めました。その倫理規定を基礎にして、観光者・旅行者に向けて「責任ある観光者および旅行者」(The Responsible Tourist and Traveler)と題して忠告しています。忠告には、私たちが観光やその他の旅行をする場合に守るべき八つの倫理的な基準が示されています。以下に、筆者の仮訳を記します。

1.異なる文化や伝統に心を開いてください。そうすれば、あなたの体験は変わったものになります。あなたは尊敬を勝ち得て、現地の人びとに進んで歓迎されます。
2.人権を尊重してください。どんな形であれ、他の人びとを食い物にすることは観光の本来の目的にそむくものです。子供を性的に食い物にすることは、現地または犯罪者の本国において処罰されるべき犯罪行為です。
3.自然環境の保護に力を貸してください。野生生物と生物の生息地を保護しましょう。また、絶滅の危機に瀕している動植物を原料とする製品は買わないでください。
4.文化的な資源を尊重してください。活動は、芸術的、考古学的、文化的な遺産に対する尊重の下に行わなければなりません。
5.あなたの旅行は現地の経済および社会の発展に寄与します。現地の手工芸品や製品を買ってください。そうすれば、公正取引の原則を通じて現地の経済を支援することになります。物品の取引は公正な稼ぎについての理解を反映したものでなければなりません。
6.あなたご自身が最新の現地保健事情について理解を得てください。出発前に緊急情報サービスや領事サービスにアクセスして、ご自分の健康と安全が損なわれる恐れのないことを確かめてください。現地への旅行を決定する前に、あなたにとって健康上必要な特定のことがら(食事制限ができること、移動しやすい交通手段の利用が可能であること、医療を受けられること)がかなえられることを確かめておいてください。
7.訪問地についてできるだけ多くのことを学んでください。そしてその地の慣習や規範、伝統について理解するために時間を割いてください。現地の住民たちを害することになる振る舞いはやめましょう。
8.訪れた国の法により犯罪とみなされる行為に関与することのないように、その国の法規に精通してください。危険物やその国の法令で禁止されている、違法薬物や武器、骨董品、生物保護種、製品または物質の取引はすべておこなってはいけません。

 海外旅行にかぎりません。国内旅行にも立派にあてはまる忠告です。旅行の目的にかかわらず、旅先では心して行動したいものです。

                                                       講師 西村 修一


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# by bwukokusai | 2012-05-08 10:42 | 教員コラム
2012年、観光がひとを動かす
 今年のゴールデンウィークは、空、陸ともに、大いに活況を呈しています。航空各社の発表(日本経済新聞4月20日付記事)によると、日並びがよいことや円高の影響などで、国内線、国際線ともに、4月27日~5月6日の間、予約数は前年比で2割以上の増加となっています。また、この間のJR6社の予約(同記事)は、新幹線と在来線特急の合計で前年比41%増、震災の影響で34%減となった昨年から一転して大きく伸びています。JR東日本の予約は震災前の2010年と比べても11%増え、同社によれば、「観光目的に加え、被災地にボランティア活動に出向くひとも多い」ことから、東京と東北の被災地を結ぶ東北新幹線は2010年比で25%増と大きく伸びているとのことです。

 関東と海外の、ひとの動きを期待させる今年の新しいできごとを見てみましょう。

 1.東京スカイツリーと東京スカイツリータウン
 今年、国内で最も注目すべきは何と言っても開業が一ヵ月以内に迫った5月22日の東京スカイツリーでしょう。(H/P:http://www.tokyo-skytree.jp/参照。スカイツリーの様子がよくわかります。)タワーの高さはご存知、「武蔵の国」の語呂合わせで、634(むさし)m、東京タワーの333mを遥かにしのぐ世界一の高さの電波塔であり、日本一高い建築物でもあります。地上350mには約2,000人を収容すると言われる天望デッキがあり、また、地上450mには約900人を収容する天望回廊があります。これらの場所からの眺めはまた格別でしょう。
 スカイツリーへの来場者は年間数百万人、東京ソラマチや商業施設(ショッピングセンター)、プラネタリウム(ドームシアター)、水族館、オフィス、教育関連施設、電波塔、展望施設などから構成される東京スカイツリータウン周辺地域全体での集客効果は、東京ディズニーリゾートを上回り、年間三千万人とも言われています。
 その周辺地域で一つ注目したいのは、浅草寺の雷門前に建設された地上8階、地下1階の建物「浅草文化観光センター」です。著名な建築家である隈研吾氏が設計した、日本家屋を積み重ねたようなユニークなデザインが特徴の大型の観光案内所で、4月20日にオープンしました。上層階には展示スペースのほか、浅草の街やスカイツリーなどを一望できる展望テラスも設けられています。浅草地域の観光客は今後も増える見通しで、英中韓の3ヵ国語に対応し、海外から訪れる人にも幅広く観光情報を提供し、地域振興につなげようというものです。

 2.大型商業施設の誕生
 4月13日に千葉県木更津市にオープンした「三井アウトレットパーク 木更津」は、東京湾アクアラインの木更津金田ICに隣接しており、首都圏広域から多くのひとを呼び寄せるでしょう。また、来年春には、「酒々井(しすい)プレミアム・アウトレット」が成田国際空港から車で約15分の千葉県印旛郡に開業予定です。木更津、酒々井の両アウトレットとも、近隣のマーケットのみならず、それぞれ羽田、成田の両空港からのアクセスがよいことから、海外からの観光客など、空港利用者の来場も大いに期待できるでしょう。
 更に、ホットなニュースとして、今春は東京で、二つの大きな新規商業施設がオープンしています。ひとつは4月19日にオープンしたお台場地区の商業施設「ダイバーシティ東京プラザ」、もう一つは4月26日にオープンの渋谷駅前(旧東急文化会館跡)「渋谷ヒカリエ」です。東京の街に新たな魅力を加える新名所と言えましょう。ゴールデンウィークには大いに賑わうことと思われます。

 3.麗水万博
 お隣の韓国で、「生きている海、息づく沿岸」をテーマに、海と人類の共存を目指して、5月12日から8月12日まで、麗水(ヨス)国際博覧会(ヨス Expo 2012)が開催されます。麗水市は、全羅南道にあり、海に面した都市で、釜山と済州島の中間あたりに位置しています。海上に建設される海上展示館は世界で初めてのものです。また、日本館は外国館としては最大規模で、「森・里・海、つながり紡ぐ私たちの未来」をテーマとして、昨年の東日本大震災の津波被害からの復興状況や、海との共生のための最新技術を発信します。

 4.ロンドンオリンピック
 言うまでもなく、今年最大の海外イベントは何と言っても夏に開催されるロンドンオリンピックでしょう。ロンドンオリンピックは、7月27日から8月12日までイギリスのロンドンで開催される、夏季オリンピックとしては第30回の記念すべき大会です。 また、ロンドンでは1908年と1948年にも開催されたことがあり、同一都市での3回開催はオリンピック史上初となります。各国の選手が力と技を競い合い、素晴らしい感動のシーンをたくさん見せてくれることでしょう。

 ひとの動きを創り出すのはこうしたイベントだけではありません。交通の発展も重要な役割を果たします。先日、新東名高速道路が開通し、渋滞緩和やひと・ものの流れの促進に大きな役割を果たしています。そして、今年は何と言っても、日本国内で、ピーチ・アビエーション、ジェットスター・ジャパン、エアアジア・ジャパンの3つのLCCが相次ぎ就航する「LCC元年」です。これらのLCCが今後ひとの流れを大きく拡大していくことでしょう。

 LCCはLow Cost Carrierの略で、「低コスト航空会社」を意味しますが、「格安航空会社」と一般的に言われており、ご存知のとおり、提供する運賃は大手航空会社が提示する正規料金の3分の1から半額程度というのが特徴です。「空飛ぶバス」とも呼ばれるLCCは、バスのように気軽に利用できることから、今まで飛行機を利用したことがなかった層に需要を拡大し、ひとの動きを活発化し、経済を活性化する大きな役割を担っていると思います。
 既に3月にピーチ・アビエーションが関西国際空港を拠点に運航を開始し、同月のロードファクター(有償座席利用率)は80%以上と業績は好調に推移しているようです。また、7月に成田と関空を拠点に就航を予定しているジェットスター・ジャパンが先日、運賃を発表しましたが、既にピーチ・アビエーションとの間で低価格競争が始まっています。さらには、8月にはエアアジア・ジャパンも成田を拠点に就航します。これから、LCCの拡大によってLCC同士や大手航空会社とだけでなく、鉄道との顧客獲得競争も激しさを増すと思われ、今後のLCCの動向から目を離せません。

 4月16日から4日間にわたり、第12回世界旅行ツーリズム協議会(WTTC=世界のツーリズム関連企業の主要100社の経営者で構成)グローバルサミットが東京及び仙台で開催され、世界53ヵ国から延べ約2000人が参加しました。サミット開催に合わせて実施された東北ツアーでは、海外メディアや旅行会社などからの参加者約100名が、世界遺産に登録された岩手県・平泉をはじめ、東日本大震災から復興が進む東北3県の現状を視察しました。日本の観光が復興し拡大していくことを世界が応援し、期待しています。
 WTTCによると、ツーリズム産業による経済効果は2011年時点で世界のGDPの9%を占め、年間6兆ドルの波及効果を生み出しています。ツーリズム産業は世界で2億5000万人の雇用を生み出し、国際間の移動は年間約10億人に達します。10年後にはさらに拡大し、経済効果は年間10兆円、世界GDPの10%を占めるまでに拡大すると試算されています。

 「観光はひとを動かす」、「ひとを動かすことこそ観光の役割」と言われますが、これからの観光の活性化が日本と世界のひとびとの平和で元気な暮らしに繋がってほしいものです。
                                                       教授 高橋 哲夫

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# by bwukokusai | 2012-05-01 10:15 | 教員コラム
今、私が国会審議で注目していること 
  現在(4月20日現在)、国会では田中防衛大臣と前田国土交通大臣の問責問題が持ち上がり、この先の国会審議がどうなるのか、また、何時までこんな状態が続くのか、何とかならないかと思っている人が多いと思います。また、中には、どうせ国会はこんなものさ、私には関係ないと諦めている人もいるでしょう。

  しかし、国民生活に重大な関係がある国の予算を決め、国民の権利・義務を決めることができるのは、国会だけなのですから、国会がその役割を果たさないのは困ります。何しろ、国会は憲法にある通り、「国権の最高機関」で「唯一の立法機関」なのですから。
  今開かれている国会は第180回国会と呼ばれ、今年1月24日に召集されました。この国会では、予算案が審議され、可決された予算に基づき、国の政策が展開されます。予算案は既に可決・成立しています。しかし、予算の裏付けになる予算関連法案はまだ成立していないので、この扱いが今後の火種になりそうです。予算関連法案が成立しないと、予算で決めた額のお金が入ってくる目途が立たなくなるのですから、事は重大です。

  予算案の審議に続いて、その他の法案の審議が始まります。私が関心を持っているのは、著作権法の改正案です。著作権法というと、読者の多くの方は著者では無いでしょうから、関心が薄いと思われますが、決してそんなことはありません。特に、コンピュータとネットワークが進歩した現在、著作権をどう扱うかはが学生の皆さんの生活に密接に関係します。
  たとえば、現在、日本では著作権の保護期間は死後50年間となっています。私が都立図書館で働いていた時、古い図書を沢山持っていましたので、1冊全部のコピーを申し込まれることがありました。古本屋さんで買うより、図書館でコピーした方が安い場合などでしょう。その際は著者の没年を調べ、保護期間が切れていると全文コピーを許していました。でも、古い本ですので、コピーすると製本が壊れるケースも多く、利用者の希望と資料を保存する図書館の役割の対立に悩む場面がありました。また、多くの利用者にご理解頂けなかったのは、著作権保護の対象期間中ですと、品切れ絶版で本屋さんで買えない場合でも、一部分しかコピーできないという著作権法の規定でした。入手困難なものを提供するのが図書館の使命ではないか、という利用者の主張はうなづけるのですが、法律では許されていない困った現実があります。
  ところで、我が国の唯一の国立図書館である国立国会図書館は、資料の利用と資料の保存を両立させることを目的に、所蔵資料の媒体変換(初めはマイクロフィルムやマイクロフィッシュでの撮影、平成21年度以降は原則としてデジタル化する)に取り組んできました。その結果、昨年11月までに江戸期以前の約7万冊と明治から1968年までの約88万冊の図書、それに101万冊の雑誌その他の大量のデジタル化(現在の媒体変換は原則としてデジタル化なので、ここから「デジタル化」と表現)が国の予算、つまりは国民の税金を使って完成しています。
  デジタル化された資料はネットワークの発達により、日本中の、そして全世界の何処にいても利用することが可能になります。デジタル化により、膨大な数の図書や雑誌を自宅に居ながらにして利用できる社会が、技術的には可能になってきたのです。特に、過去の出版物に国民が地域間格差なしにスムーズにアクセスできることは、知的インフラとして早く実現すべきです。しかし、それを無条件に許すと、現在の著作権制度との間に矛盾が出てきます。
  この点を検討するため、文部科学省は平成22年11月から「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」という、関係者や学識経験者を集めた検討会を開き、その報告が平成24年1月に公表されました。そして、この内容などを盛り込んだ著作権法の一部を改正する法律案が3月9日に国会に提出された、というわけです。改正案は、平成25年1月1日の施行を予定しています。
  修正の内容は、国立国会図書館は、複製物を図書館に対してデジタル送信でき、図書館では一部分を利用者の求めに応じて複製し提供できるというものです。対象となる図書館は、公立図書館や大学図書館などとすることが、検討会議でまとまっています。また、国民の利便性を考えると各家庭までの送信サービスを実施すべきだが、解決すべき課題が多いので、実施するまでに相当の期間を要すると報告書には書いてあります。取りあえずは、図書館に行けば、国立国会図書館のデジタル資料を読んだり、一部分のプリントアウトが可能になったりする、という内容の改正です。

  この改正内容は、デジタル化による国民の利便性を少しでも早く実現することを目的に、多くの利害関係者に賛同いただける比較的順当な範囲の改正案になっていると評価されています。早く実現する、といっても、改正案が成立しても施行されるのは来年の正月を待たねばならないのですが。

  現在の第180回国会の会期末は6月21日となっています。その日まで、この著作権法改正案が成立するのか、私はハラハラしながら見守っています。

参考:
 「電子書籍の流通と利用の円滑化に関する検討会議」の報告
 http://www.bunka.go.jp/bunkashingikai/kondankaitou/denshishoseki/kouhyou.html
  著作権法の一部を改正する法律案 
http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/detail/1318798.htm


教授 瀬島 健二郎

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# by bwukokusai | 2012-04-24 15:47 | 教員コラム
2012年本屋大賞に『舟を編む』が受賞
 文学作品を対象とした賞には、誰もが知る芥川賞、直木賞をはじめ数多くあります。これらの既成の文学賞はプロの作家によって選考されています。マイナーの部類に入るかもしれませんが、最近、話題をよんでいるのが本屋大賞です。全国の書店員自身が読んで「面白かった」「お客様にも薦めたい」「一番売りたい」本を投票だけで選ぶ賞です。この原稿を書いた4月11日の朝、NHKのニュースで知り、出勤途中、駅中の書店でこの本を購入しました。
 4月10日の夕方、書店員有志で組織する実行委員会によって本屋大賞発表会が明治記念館で開かれました。過去1年間(2010年12月1日~2011年11月30日)に刊行された日本の小説の中から、直木賞受賞作家、三浦しをんさん(35歳)の『舟を編む』(光文社)が受賞と決まりました。NHKのニュースによると、投票に参加した書店員の方々は年間700冊以上の新刊書を読破しているとのことです。

 昼休みを利用して速読してみました。
 あらすじは、大手出版社玄武書房の辞典編集部が舞台で、辞典編集に長年携わってきた荒木公平が定年退職を迎え、後任に営業部から馬締(マジメ)光也が着任、新辞書の編集を託されることとなります。営業部では変人として疎まれていましたが、編集部の個性豊かなメンバーたちと新辞書『大渡海』を編む作業が開始されます。馬締は辞書編集の世界に没頭していきますが、辞典編集部には様々な問題が山積しています。果たして『大渡海』は完成することになるのでしょうか・・・。
 編集という地味な世界ですが、作者の言葉へのこだわりが読み取れ、日常会話が面白いのです。出版関係者の人間模様が活写され、辞書作りだけでなく恋愛もえがかれ、なにしろ面白い。著者の三浦氏は小学館や岩波書店の辞典編集部や製紙会社での取材を重ね、構成は慎重で筋たてに腐心されたことが読み取れます。帯に刷り込まれたメッセージには「地味なんだろうと思っていた辞書作りが、何か、目のはなせないスポーツ競技のように思えてくるのである」(角田光代)「辞書編集部という、とことん地味な世界で繰り広げられる、壮大で痛快で、ロマンスたっぷりの一大冒険小説」(金原瑞人)「言葉への愛は、人間への愛なんだ」(明正堂書店・金杉由美)等々。

 本屋大賞誕生の経緯を、サイトから引用させていただきます。「実際に本を作っている編集者や販売の現場の書店員、読者の声を反映していないということから、首都圏の書店員や雑誌編集者が本屋大賞実行委員会を作って、書店員の声を反映した賞を作ろうと設けた。きっかけは片山恭一の『世界の中心で愛を叫ぶ』(小学館)をほとんど宣伝しなかったにもかかわらず一部のカリスマ書店員が手書きのPOPを作ったことから火がついて100万部を超す売り上げとなったことや、書店員の手書き帯によって売り行きの悪かった本の売り上げを急激に増やしたことが注目されたことにある」。(インターネット「本屋大賞」サイトより)
注:POPとはキャッチコピーを記したハガキ大のカードのこと。お勧め本の脇または上に立てた店頭広告。
  
 出版不況が続く昨今、販売現場の書店員の方々のこうした地道な努力がベストセラーを生むきっかけとなっていることは間違いないと思います。
 著者の三浦しをんさんは、本書の巻末に<引用・主要参考文献>をあげています。その中に『大言海』が含まれています。本書を読まれたら是非、高田宏氏の傑作、『言葉の海へ』(新潮社 1978)も読まれることをお勧めします。日本初の近代国語辞典『大言海』を作った大槻文彦の感動的な生涯を描いた作品です。

                                                       教授 宍戸 寛

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# by bwukokusai | 2012-04-17 10:00 | 教員コラム

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